サックス四重奏(SATB)。中級者向け。
モーリス・ラヴェルの「無伴奏混声合唱のための3つの歌」(1914/15年の作品)をサックス四重奏にアレンジした作品。
「ニコレット(Nicolette) 」と題された最初の曲は、童話「赤頭巾ちゃん」にもよく似た、でもちょっと大人な物語。誘惑をもとめて草原をさまようニコレットは、やはり「赤頭巾ちゃん」同様に狼に出会います。狼から逃げて、野をさまよう貧しい若者に会い、恋に落ちるのですが、残念ながら彼女が求婚に応じてしまうのは見栄えのしない、しかしお金持ちの領主なのでした。
まんなかの「3羽の美しい極楽鳥(3 Beaux oiseaux du paradis)」は1914年に最初に作曲されたもの。青と白とあざやかな紅…そう、フランス国旗の三色(トリコロール)を象徴する彼らは、実は当時、第二次世界大戦にむかって各国で巻き起こりつつあったナショナリズム(国家主義)的体制の象徴でもあるのでした。つまりこの部分は、戦争に赴き不帰の人となった恋人を嘆く女性のもとに、今は亡き恋人の伝言を運んできた三羽の鳥の物語なのです。
そして最後の「ロンド(Ronde)」は3つの部分に分かれています。まず最初は、若き乙女たちに「森には危ない悪魔がたくさんいるから入ってはいけない」とさとす老婆たちの歌。次に、少年たちに同様のことをさとす年老いた男たちの歌が登場します。そこまでは道徳的なのですが…最後に少年少女たちが「つまんない!みんな大人がそういうもの(悪魔やなにか怖いもの)を追い払っちゃったから、私たち(ぼくたち)はもう森に入る気分なんかなくしちまった!」と叫ぶ、という…いつの日も、親の心子知らず、というか、角を矯めて牛を殺す、というか…ともかくそんなシニカルなエピソードをもつ3つの歌。そんなストーリーとともにステージにかけたら、きっと受けるんじゃないでしょうかね?