ジャズの発展においてアレンジャーが果たした創造的な役割は、これまで正当に評価されたり記録されてはきませんでした。1920年代以来、技巧の優れたアレンジャーたちは、ジャズという音楽の表現法をさまざまなアンサンブルの組み合わせで作り上げ、また変化させてきましたが、学術的に認識されるということは滅多にありませんでした。近年ジャズ史、インプロヴィゼイション、およびコンポジションに関する研究や出版は増加していますが、ジャズ・アレンジングの音楽的な発展に焦点を合わせた情報は著しく欠落しています。
本書は、実例の音楽的考察と歴史的考察をとおして、1920年代から現代までのジャズ・アレンジングにおけるリズム、メロディ、ハーモニー、オーケストレイション、構成上のバリエーションなどが発展してきた過程を具体的に描き出しています。 数多くのジャズ・アレンジメントの基となった作品を、広くさまざまなカテゴリーに分類し、それぞれのオリジナル作品に基づくアレンジメントを精査して、その質の高さ、ある時期を代表するスタイルおよび歴史的な観点からの考察、また歴史上重要なジャズ・アレンジャーによって創り出されたアレンジメントの数々を吟味します。
9つの各年代を代表するアレンジメント(スコアおよびパート譜)は、現存のアレンジャーからの提供、所蔵からの借用、スケッチからの再構成、またはレコーディングからのトランクスクライブにより準備され、最終的に厳選された4つのコンポジションに対する新しいアレンジメントの創作を、現代を代表する4人の巨匠に委託したものです。
ケース・スタディは、以下の3つのクラシック・ジャズ・コンポジション、およびアメリカのポピュラーなスタンダード・チューンに基づく35のアレンジメントに限定しています。
King Porter Stomp by Jelly Roll Morton
Fletcher Henderson、Gil Evance、Jim McNeely、Bob Brookmeyer などのアレンジを検証
Chant of the Weed by Don Redman
Eddie Sauter、Van Alexander、Ralph Burns、Gil Evance などのアレンジを検証
All of Me by Gerald Marks and Seymour Simon
Benny Carter、Nelson Riddle、Duke Ellington、Billy Byers、Thad Jones などのアレンジを検証
Take the A Train by Billy Strayhorn
Duke Ellington、Marty Paich、Carl Fisher などのアレンジを検証


