1727年から1730年にかけて、バッハがライプツィヒのThomaskantorにいた時に、オルガンのためのThe Trio Sonatas BWV525-530を作曲しました。バッハの最初の伝記作家であるJohann Nikolaus Forkel は、バッハはこの曲を彼の息子Wilhelm Friedemann のために作曲したと書いています。Wilhelm は立派なオルガニストになるために(後になりますが)この曲を練習しなければなりませんでした。そうしなければこの美しさを十分には語りきれないからです。18世紀の半ば早くに、ヴァイオリン、チェロ、ベースのための最初のアレンジが書かれます。その後数え切れないほど、他の楽器のためのアレンジが書かれます。モーツァルトは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための3楽章のアレンジを手がけました。20世紀に入ってからはBartok とKabalevsky がピアノ・ソロ版を書きました。
The Trio Sonataは通常バロック様式で4人の演奏家《2つのソロ・パート(ヴァイオリン、フルート又はオーボエ)、ベース・パート(チェロ、ヴァイオリン又はバスーン)、コンティヌオ・パート(オルガン、ハープシコード又はフルート)》によって演奏されます。バッハのオルガンのためのソナタは、2つの別個の楽器にベース・ラインが付随したような3つのパートの微妙な分化を描写することのできる、それぞれ高度に独立した両手足の技術が求められます。明らかに、ペダルのパートは鍵盤奏者の左手の妙技のようにはいきません。そのため、現代版のように経験の浅いテナーかバリトン・サックス奏者のために書かれたものはまさにうってつけです。
こういった演奏家にとって、バロック音楽の概念はあまり親しまれているとは言えませんが、いくつかのアドバイスが書かれています。バッハは、第一楽章以外は全てテンポを指定しています。メトロノームの表示はいくつかの方向性を与えてくれます。それは、演奏者は音楽的趣向と能力に従ってテンポを調節しなければならないということです。第2楽章のはじめのスラーを除いて、楽譜の中にはそれ以上のアーティキュレーションがありません。このエディション(版)の中のアーティキュレーションは厳密に従う必要はありません。スラーは常にレガートである必要はなく、むしろ一つの音楽的な単位を表しています。わずかなタンギングはラインをくずしません。同様に、スタッカートの点は常に短い音を表しているわけではなく、明確な表示はされていませんがアップ・ビートを表していて、シンコペーションは強調するために使ったり、又はただ単に別々の8分音符を表現したいがためのものです(第1楽章のテーマのように)。一般的には大きいインターヴァルは、よりはっきりと際立たせるべきでしょう。それはアルペジオ(ベースのパートに良くみられる)での伴奏形なのか、メロディとして重要な意味を持つラインなのか決断しなければなりません。楽章が進んでいくにつれ、平行したアーティキュレーションや似たようなパッセージは除外されます。フレージングやアーティキュレーション以外にも、このソナタからは多くを学ぶことができます。この作品を演奏し上演できることはこのうえない喜びです。各楽章ごとによりはっきりと異なったムードと特徴を出します。Forkel の言葉をもう一度引用すると「この美しさを十分には語りきれない」。
中級者、上級者向け。