フルスコアとパート譜/サックス・カルテット(SAATB)用。中級者向け。
スペインの作曲家&ピアニスト、イツァーク・マニュエル・フランシスコ・アルベニス(イ・パスコアル)に関しては、すでに多くの優れた文筆家がその数奇な人生について語っています。また、インターネットで探れば多くの情報が得られるはず。演奏の前に、そういうことを知っておくのも大切なことなんです。
アルベニスはスペイン近代音楽の父と言われています。独特のリズム、スペインの典型的な民族音楽に根差し、それらのスペインならではの要素をうまくとりこんだピアノ作品を数多く発表したことで知られています。
この《セヴィリア》という作品は彼のピアノのための組曲「スペイン」(作品47)の第三楽章です。この組曲は最終的に8楽章で構成されるものになり、それぞれの楽章にはスペイン(現在のキューバを含む)の地政学的な地域または都市の名前が記されています。一時スペインはキューバまでもその領土としていましたから、キューバまで視野に入れられているのです。
民族音楽の雰囲気にあふれ、また、インプロヴィゼーションを楽しめる要素に満ちたこの楽曲には、以下のような特長があります。
●旋律線のなかにひそむ、きわめて個性的な装飾やスペインならではのモチーフ
●ギターやその他の、スペインならではの楽器のピアノによる模倣
●非対称的なフレーズ
●新しい主題の思いがけない出現
●特筆すべき、テンポとダイナミックスの「ゆらぎ」
●きまじめな転調
●楽典的には「違法」な技法(第11小節目にみられる旋律線と低音部の8度音程の平行移動)
などなど…しかしとりわけ次の一点をここでは強調しておきたく思います。
●中音域で技巧的かつ詠嘆的な表現をしていながら、同時に高音部で歌心にあふれたゆったりした表現をしていること
このアレンジは原曲より一度低く、サックスアンサンブルにはぴったりです。さらに「できるかぎり原曲に忠実に…しかし、可能な限りの遊び心を持つ」という精神でアレンジされています。つまり、このアレンジは指定通り五重奏で演奏可能なだけではなく、合唱またはその他の楽器の合奏形態でも演奏可能なようになっているのです。サックス五重奏以外の形態の場合は、第76-79小節ならびに104から110小節のソプラノサックスのソロは5人のソリストで演奏することをおすすめします。
音楽を楽しんで!スペイン万歳!
アルベルト・ロリス