1900~1940年代にあたる、初期のジャズをソロで弾くスタイル
独学でジャズを練習するクラシック・ピアニストの皆さんにお話を伺うと、楽器店やネットで楽譜集を買って弾いておられる方がほとんどのようです。読譜力のあるピアニストさんは、メロディ、コード、伴奏のリズムなどがすべて五線譜に書き起こされているほうが弾きやすいようですね。むしろ五線譜の上にアルファベットと数字しか書かれていないリード・シート(コード譜)を見ると何を弾いたらよいものか解らず、戸惑うと仰る方もいます。
弾き語りでジャズを歌えるようになりたいと思う私にとって「五線譜を見れば弾ける」というピアニストの皆さんは憧れの的ですが、ジャズの楽譜にメロディとコード(しかもアルファベットと数字で)しか書かれていないのにも理由があります。
ジャズは生き物。同じ曲を演奏するとしても、演奏者の得意とするスタイルや演奏された年代、会場の雰囲気、プレイヤーの気分、共演者との相性などによってテンポもスタイルも大きく変わります。さらにインプロヴィゼイションと呼ばれるソロの部分は毎回その場で創り出されるので、1音1音の表情に至るまで作曲家の意図が込められたクラシック曲のような楽譜を作ることができないんです。文学作品は文字のまま読むのが面白いけれど、演劇や落語の台本を読んでもピンと来ないのと同じようなものでしょうか。
もちろん一流プレイヤーのパフォーマンスを採譜した「トランスクリプション」と呼ばれる楽譜も多数ありますが、こちらはそれぞれのプレイヤーの奏法やスタイルを学習するためにお使いいただくもので、これしか弾けないというのはあまり意味がありません。バークリーのピアノ科の期末試験とか、こういうの弾かされるらしいですけど。笑
じゃあ何をすればいいの!と頭を抱えるピアニストの方におすすめなのがこちら、「ジャズ・スタイル別ピアノ・シリーズ」。ジャズを形づくるさまざまなスタイルを取り上げ、それぞれのスタイルが誕生するに至った歴史的な背景と各スタイルの有名プレイヤーたちを紹介。特徴的なテクニックの数々を大譜表と付属CD(片手ずつの音が分けて聞けちゃう模範演奏CD付!)で楽しく身につけることができます。巻末にはそれぞれのテクニックを実際の曲で演奏する方法を学ぶための練習曲が掲載されています。
たとえば一番人気の「ストライド&スウィング」編では、ラグタイム王Scott Jopilin(超有名曲 The Entertaner [1] の作曲者)から始まって、ブギウギ(Pete Johnson [2])、ニューオリンズ・ジャズ(Jelly Roll Morton [3])、ストライド前期(James P.Johnson [4])、ストライド後期(Fats Waller [5] )、スウィング・ピアノ(Teddy Wilson [6])、Art Tatum [7])まで!「これもジャズ?」というところからスウィングに至るまでの経緯を、歴史的な流れを追って詳しく学ぶことができます。参考音源のYoutubeで聴くだけでもワクワクするでしょう!
[1] Scott Jopilin作曲のThe Entertaner:YouTube[2] Pete Johnson:YouTube
[3] Jelly Roll Morton:YouTube
[4] James P.Johnson:YouTube
[5] Fats Waller:YouTube
[6] Teddy Wilson:YouTube
[7] Art Tatum:YouTube
「こういうジャズを探してた!」「やってみたいと思ってはいたけれど、こんなに詳しい本はなかった!」「自分のプレイに活かせるテクニックがたくさんあった!」など、ジャズのさまざまなルーツを探り、あなたのプレイに加えませんか?発見が盛りだくさんのジャズ・スタイル別ピアノ・シリーズは、ジャズ/ブルース、ストライド&スウィング、ビバップ・ジャズ、スムース・ジャズ、ブルース、ポストバップ・ジャズの6冊。クラシック・ピアノの教本も手がけるATNだからこそ分かるピアニストの悩みを、がっぷり四つで楽しく解決するシリーズです。
個人的には譜例がちょっと短い気がするので、気に入ったフレーズを12のキーに書き起こして、Circle of 5th (5度圏)に沿ってぴょんぴょん飛びながら練習してます。む ず か し い です。フラット4つ(A♭)で涙目。笑
クラシックでもジャズでもラテンでも、音楽を愛する気持ちとうまくなりたい想いは共通です。新しいことに楽しく挑戦できるマテリアルを見つけたら、ぜひ手に取ってみましょうね。一緒に頑張りましょう☆