ジャズ・コンセプション・シリーズは、今や有名なジャズ・エチュード&マイナスワン教材となりました。実際にお使いの皆さんは、本の楽譜を見て演奏するという練習をしている方が多いでしょうか。しかし、このシリーズには他にもちょっと得する使い方があるんです。
本書のレベルよりも先の話になりますが、例えば練習中の管楽器プレイヤーにひとつのゴールがあるとしたら、それは自分が吹きたいフレーズをすべて思い通りに吹けるようになることでしょう。そのために必要な要素は、
● 音楽的な耳を作り、相対音感を身につけること (イヤー・トレーニング)
● 音楽理論の知識を演奏に活用できること (ハーモニック・セオリーの知識と適用方法)
● 楽器の演奏テクニック (楽器の練習)
の3点。それぞれを並行して勉強するのがベストですが、ジャズ初心者には具体的に何をどこから始めたらよいのかわからないかもしれません。
でも実は、初心者だからこそ取り組むべき練習があるんです。前もってかんたんな楽譜の読み書きができれば、準備は万端です。それが不安な場合でも、ゆっくり学習していけば大丈夫。さっそく本書に取り組んでみましょう!
本書のお得な使用方法
1:まず、5線紙を用意します。
2:本の楽譜は見ずに、付属CDの模範演奏を聴きます。
3:楽器を演奏しながら、CDから聴き取れた情報
メロディの音 タイム・フィール タンギングの位置 アクセントの位置 音量の強弱
ヴィブラートのかけ具合 ピッチ・ベンド バックで鳴っているコード など
をすべて5線紙に書いていきます。
基本的にはこの3ステップだけ。何回もくり返し聴き、書きおこしましょう。教本の楽譜は、採譜の模範解答として使います。
では、この方法だとどこが「お得」なのでしょう?
独学では学習しにくいイヤー・トレーニングができる
「楽譜を読む」という視覚的なトレーニングではなく、すべて耳での聴き取り。それも無機質な電子音での聴音練習ではなくN.Y.で活躍する一流ミュージシャンの曲の演奏なので、より実践的なトレーニングに取り組めます。初級レベルは音数が少なくテンポもゆっくりしているため、耳コピが苦手な方でも徐々に耳を慣らしていくことができます。コードまで聴き取れれば、単音ではなくハーモニーのイヤトレにもなり、インプロヴィゼイションのスキルも向上するでしょう。
ジャズのヴォキャブラリーを身につける
自分で耳コピをしたフレーズは、楽譜を読んだだけの場合よりも深く記憶に残るもの。エチュードの原曲(コード進行)はスタンダード曲ばかりなので、覚えたフレーズはセッションで使うことも可能です。さらに、アーティキュレーション(リズムやアクセントなどの各種テクニック)まで耳コピしていれば、ジャズらしい歌い方=ジャズ・スタイルが徐々に染みついてくるはず。もちろん、聴いたフレーズをすぐに「楽器で歌う」瞬発力も向上します。
私がサックスを教えている生徒さんたちにも、本書を使ったレッスンをします。この方法でやるようになってから、以前よりも大きな成果が出ています。ほとんどの生徒さんたちは、楽器の上達が格段に早くなりました。そして何よりすばらしいことは、その後好きなアーティストの耳コピをするようになった生徒さんたちの耳の反応。アーティストの特徴やスタイルを表現する上で欠かせないテクニックを、以前よりも正確に聴き取れるようになっています。
もちろん、読譜力を鍛えたい場合は、初見でまず演奏してみるのもよいですね。前述のイヤー・トレーニング/楽器のテクニック練習/模範演奏をお手本としたスタイル・スタディなどを同時に行うのも効果的。せっかくですから、徹底的にどんどん活用しましょう!
そして、初級編が終わったら中級のインターミディエイト・ジャズ・コンセプション・シリーズが待っていますよ!