Billy Joel 「Just the Way You Are」のイントロを演奏したサックス界の大御所で、作曲家でもあるPhil Woodsが贈るピアノとのデュオ作品。ジャズ・スタイルをコンサート・ピースに取り入れたということだけでなく、演奏者が練習と本番の両方において常にクリエイティブな姿勢を保つことの要求される、ドラマティックでやりがいのある作品として高い評価を受けています。
アドルフ・サックス国際コンクール(Adolphe Sax International Conpetition)の課題曲にも選ばれるクオリティを誇る本作品は、クラシックとジャズのクロスオーバーとして作曲されました。楽譜にはジャズ・スタイルのアーティキュレーションやアクセント、装飾がふんだんに表記されているので、クラシック・プレイヤーが楽譜とともにジャズのフィールを学ぶ素材として最適です。 楽章によっては即興的な演奏のできるセクションもあるので、作品の中からテーマやリズム、ハーモニーの要素を自由に選び、あなたなりのソロを創る練習として活用することもできます。インプロヴィゼイションでの演奏に慣れたジャズ・プレイヤーにとって、ピアノとのデュオという編成は非常に新鮮に聞こえるでしょう。クラシック的な美しいハーモニー構造や異なるリズムの解釈をあなたのプレイに取り入れ、テクニックの向上を図る格好の素材となるでしょう。
第1楽章は流れるようなピアノのアルペジオと音数の少ないアルト・サックスのメロディで始まり、アッチェレランドのついたオスティナートが36小節めから始まるビバップ・ジャズ・フィールへの推進力をつけます。タンゴのようにも聞こえる熱情的なジャズ・セクションながら、自在に変わる拍子とリズム、さらにメジャーとマイナーを行き来するような独特の調性感がクラシック・プレイヤーの知的好奇心をかきたてます。クラシックとジャズのクロスオーバーという表記どおり、どちらのプレイヤーにも、どちらのオーディエンスにも耳なじみのあるサウンドとして完成しました。
第2楽章は近現代のクラシック音楽を思わせるピアノのオスティナートに、スロー・テンポのジャズ・バラードのようなサックスのフレージングが重なります。メロディの粒の美しさが冴える第2楽章では、レガートなラインにクリアな強弱とアーティキュレーションが加わり、フリー・ジャズのようなフィニッシュを迎えます。
第3楽章、第4楽章と進むごとに曲想は近現代やフリー・ジャズを彷彿とさせる浮遊感を帯び、インプロヴィゼイションの箇所が増えることで曲に対するアプローチも自由にできるでしょう。プレイヤーのバックグラウンドやフレーズの創りかたによって、あらゆる表情をつけることが可能です。
冒頭には「解釈と演奏についての注釈」が添えられており、4楽章のそれぞれに対する演奏上の注意点や解釈が詳しく説明されています。
Phil Woodsの言葉を引用すれば、最も重要なことは演奏者が作品の創造に参加し、そして楽しむことです!

