「聴くだけで上達する付属CD」!?
まずは「もくじ」をじっくり見てみましょう。良い教則本は「もくじ」だけでワクワクさせてくれるもの。そして譜面に取り組む前に、付属のCDでデモ演奏を流してみてください。ここでさらにワクワクすれば、デモ演奏は単なる譜面の再現ではなく、文字通り「模範となる演奏」であるといえるでしょう。
本書『ジャズ・ギター ライン&フレーズ』は「もくじ」のワクワク感も、聴く人をインスパイアする「模範演奏」のクオリティーもまさにレコメン!と断言できるレベルです。譜例の多さに目を奪われがちですが、耳から本格的なジャズ・ギターのニュアンスを学べ、そして各セクションのフレーズはどれもカッコ良く、真似して弾くだけで大満足できるはず。
ただ、ギター・プレイの基礎的なスキルを習得するような練習はカバーされてなく、各セクションのコンセプトはそれがいかに有効に働くかという解説も少ないので、本書の魅力を十分に伝えきれていないように思います。つまりは初心者向けではなく、より本書の内容を理解したい場合は、良い先生とともに読み進めるのが望ましいでしょう。
具体的にどんな人に使ってほしいかというと、これがなかなか難しい。なぜ難しいか。それは本書を学習対象とし得るレベルの範囲がとても広いからです。
~スケールやアルペジオは弾けるぞ、という方~
本書を通じてリアルなジャズ・ギター言語を感じるだけでも買う価値あり!
~コピーが主だけどある程度ソロも取れるよ、という方~
本書前半のイディオムを通じて、短い言葉をつなぎ合わせることに慣れてみよう!
~ビバップ以降の要素を学びたい方~
本書後半に載っているアイディアを通じて新たな領域へ!
本書内容の前段階、つまり、指板の理解、より小さい単位の単語、アルペジオなどは他の本やレッスンで学ぶ必要はありますが、上達すればするほど本書の魅力が増してくる、さらに価値あるものに思える、そんな本なのです!
脱初心者から上級者まで利用できて、フレーズと模範演奏がカッコいいという、ありそうでなかったすばらしい本!これ一冊で数年は楽しめるでしょう。
CDの模範演奏は「スタジオというよりは自宅の部屋で簡単に録音しました」みたいな雰囲気ですが、カジュアルでリアルな話し言葉を聞いているようでむしろ好感がもてるかも。ジャズ・ギターのアコースティックなサウンドも心地よい。
ひとつのセクションがノン・ストップでプレイされるところもあり、楽曲を聴いているような感覚でくり返し聴いているだけでジャズ言語に対するセンスがアップするのでは、とさえ思えます。
「聴くだけで上達するCD」と言ったら言い過ぎでしょうか?