これまで単売されていた ESSENTIAL ELEMENTS のバンド楽曲は、コンサートやライヴで使える効果的で平易なアレンジに加え、合装とインプロヴァイズの練習に役立つ「Workout(練習パターン)」が併載されており、指導者なしでも楽しくJAZZのエッセンスを体験できる…と、各方面で好評を博してきた。
それらの全15曲を16パートごとに一冊にまとめ、バンド全体で気楽に楽しめる「バリューパック」にしたのがこのセット。
どの楽曲にも「Rhythm Workout」「Melody Workout」「Scale Workout」「Demonstration Solo」が付属している。
「Rhythm Workout」は、主旋律の音高を排除して、一音でそのメロディに内在するリズムを体験できるように工夫された練習曲。まるでモールス信号みたいに聞こえるけれど、習熟してくるとそれだけでも原曲のメロディに内在するスウィング感を体感できるようになる。シンプルだが優れたアイディアだ。まずは楽器ではなく、口でうたってみる練習がおすすめ。心と身体をときほぐす練習にもなる。
「Melody Workout」は、どの楽器でも主旋律を体験できるように、という意味で用意されたもので、なかなかメロディを吹く経験がない低音楽器などのセンス向上にとても役立つのはいうまでもない。
「Scale Workout」は、その楽曲の基本となる調性の上で、インプロヴィゼーションに役立つ「音」を確認するための練習パターン。メロディに付随するコードネームがどんな音で校正されているかが一目瞭然で、音階練習みたいにみえるが、漫然とこれを吹いているだけでは意味がないので要注意。メロディに内蔵された和声の流れを体感することがこの練習の目的なのだから。
最後の「Demonstration Solo」は、付属CDにも別トラックに収録されているSoloの模範例。楽曲のなかに指定された「Solo」の際にこの部分をそのまま吹けばいい…のだけれど、ちょっと慣れてきたらこれまでに練習してきた「Rhythm」「Melody」「Scale」などの練習を活かして、自分なりのSoloをつくってみよう。技術も歌心も同時に鍛えられる、効果的な練習法だ。
収録されているのは 『All of Me』、『Satin Doll』、『Take the “A” train』、『Basin Street Blues』、『Ja-Da』、『So What』などのJAZZ定番楽曲と、ラテンの名曲 『Perfidia』、1963年の大ヒットポップス 『On Broadway』 などの有名曲7曲、それに本企画の監修を務めたマイク・スタイネル作曲のオリジナル5曲。コンパクトながら、トラディショナルからモダン・ジャズ、唄もの、ラテンなど実にヴァリエーション豊かなのがうれしい。これ一冊で一晩のコンサートができるくらいの充実したラインアップだ。
下記の「掲載曲解説」にて簡単に一曲づつそれぞれの展開を紹介しよう。なお文中に「指導者の工夫」とあるが、原則的には楽譜を著作権者に許可なく変更するのは禁止されている。本シリーズを使用する指導者には「解釈」「演奏のニュアンス」の範囲内でできるだけ工夫してみるセンスが求められているのだ。
基本編成 : アルト×2、テナー×2、バリトン×1、トランペット×3、トロンボーン×3 (3番はチューバ兼用)、ギター、ピアノ、ベース、ドラム、ヴァイヴ(C)
すべての楽曲で、トランペットの最高音は五線譜を離れないGまでしか使用されていない。したがって、たとえばMC(コンサートでの司会)の裏でさりげなく流すBGMとしても使用可能。
解説 : 榎本 孝一郎 (ブラストライブ 編集長)